サラ金を営業していたトヨタ

昭和50年、サラ金会社タカナワを設立

今でこそ自社の自動車販売を主に取り扱う金融サービス「トヨタファイナンス」を展開している自動車大手のトヨタですが、昭和の時代にサラ金を営業していた過去があります。時は昭和50年、東京トヨペットがサラ金「タカナワ」を設立し、東京の神田、有楽町、新橋など都内に8店舗を展開したのが始まりです。

全店舗を合わせると約40名の社員になるものの、それらはすべてトヨタ本社からの出向であったようです。サラ金のノウハウもない自動車販売会社であるものの、大企業のトヨタが貸金業に進出するということで、サラ金業界は大いに顔色を変えたと言われています。

当時はサラリーマン金融全盛の時代で、上限金利は最高109.5%まで認められていたことから、大手であっても70%以上の金利を取っており、どのサラ金業者もぼろ儲けをしていたのが実態です。

上限金利の時代推移

タカナワで借りて返済を促す

サラ金業者がボロ儲けをしていた半面、同業者による妨害工作も頻繁に行われていました。特に新規開業業者に対しては、自分たちの利益が食われてしまうことを恐れて、執拗な妨害工作を展開していたといいます。

タカナワにしても同様で、多重債務に陥って返済の目途のない客に対し、タカナワで借りてこさせて返済に充当させる手口で、わざわざタカナワの店舗まで案内する業者もいました。もっとも当時は自転車操業が当たり前のように行われていた時代で、多重債務者はまさにトランプのババ抜きのようにサラ金会社をたらい回しにされていたのです。

タカナワは新規業者だったことからそういった業界の風習も知らずに、他業者から送られてくる多重債務者に対しても新規顧客獲得とばかりに喜んで融資をしていました。その結果、三年間の累積赤字が5000万円を超え、業界内では異例の高さとされる10%近くの貸倒率を記録することとなります。

わずか三年で撤退

自動車販売では国内屈指のトヨタであっても、慣れない貸金業界においては素人同然で、古くからの他業者の食い物にされてしまった事実は否めません。結局、昭和53年7月、東京トヨペットは資金面や人的にもタカナワから手を引いてしまうこととなります。事実上の撤退です。

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